ギリシャ問題の次は難民問題

中東や北アフリカ諸国から地中海を通って欧州に向かう難民、移民の数が急増しています。
欧州市民がこうした事態に気づき出したのは、「ボートピープル」を乗せた船が転覆し、難民・移民たちが海上に放り出されたり、命を落としたりする事件がテレビで大きく報道されたことがきっかけです。

欧州大陸とは海を隔てた位置にある英国でさえも、連日のように国境を渡ろうとする難民・移民たちの姿がトップニュースとなっています。中間業者に巨額を払い、子供を連れてやってくる母親、若者たち。命からがらでやってきて、何があろうと「自国には戻りたくない」と言っているそうです。

危険を冒してやってくる難民・移民たちは人道的見地から放っておけない状態にあるのですが、欧州各国政府はそれぞれのお国事情から、そのまま受け入れるわけにもいかないのが現実です。反移民感情が欧州内のどの国にも一定数、存在しており、行政面からも受け入れにはおのずと限界があります。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が7月1日付けで発表した報告書「欧州への海路 ー難民の時代の地中海通路」によると、今年上半期、地中海をわたってギリシャ、イタリア、マルタ、スペインに入った難民、移民の数は約13万7000人に上っています。これは昨年同期の7万5000人から83%の増加です。

欧州は難民・移民の急激な流入でアップアップ状態です。特に矢面に立つのが海沿いのギリシャ、イタリア、そして一旦欧州に入った難民たちが北上する際の玄関口となるハンガリーです。
反移民感情が高まるハンガリーでは、セルビアとの国境沿いなど約170キロに3重の有刺鉄線を張る作業が完了しており、今後は高いフェンスの設置を進める予定です。

難民排斥の動きも一部であるドイツでは、メルケル首相が、31日、難民・移民問題について「欧州全体で責任分担をするよう」呼びかけました。公平な受け入れができない場合は、域内の自由な移動を認める「シェンゲン協定」の見直しを検討するようになる、と述べたとのことです。

シェンゲン協定に参加する国では通常、国境での審査がなく、いったん域内に入れば、自由に移動が可能になります。
ドイツに入ってくる難民は今年、約80万人に上る見込みです。これは14年の約4倍。今年7月だけで約8万人を数えました。放火など難民施設への襲撃は、今年上半期だけで約200件に上っており、社会不安につながる可能性大です。

長期的には難民・移民流入の増加を止めるには、元々の地域紛争の解決しかなく、混乱をつくっているイスラム国への対応が必要なのは明らかです。

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